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    • 2015.01.19 Monday
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    なあんもないよ

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      150104_1442~010002.jpg
      日本一の干潟や。



      ― ― ― ― ― ―



      2015年1月4日。
      彼女が干拓に行きたいと言う。
      俺も行きたい。

      干拓と言えば日本だけでなく世界各地で歴史は古くからある。
      干拓ということ、ひとつをとっても、さまざまな立場からの、いろんな意見がある。
      俺が興味があるのは、干拓地の先には大抵あるであろう、そもそもの姿である干潟だ。
      それも広大な。
      そして、広大な干潟を見たことがないという彼女に見せたい。

      大潮だった。
      条件は最高。
      干潟が一番現れるのは最干潮時。
      つまり、最高に広大な干潟を見たいならば、最干潮時に合わせ、行かなければならない。
      この日の最干潮の時間帯は14時台。
      大潮ならば、間違いなく物凄い干潟が現れるはず。
      有明海奥部の、どの付近に行くか迷ったが、
      柳川だ。
      特別、根拠はない。
      目指すは柳川の干拓地の先にある有明海の干潟。
      実際、行ったことはない。
      初めて行く。

      385号線を車で南下。
      脊振山脈を越える。
      山を後にし、筑紫平野の水郷地帯を走る。
      至るところにクリークを見かける。
      さすがは水郷地帯と言われるだけある。
      筑後川を渡り、大川市を抜け、柳川へ入った。
      さらに真っ直ぐ行くと海に突き当たった。
      有明海奥部、柳川の干拓地に到着。
      多分、その干拓地には名称があると思うが、いまいちわからない。
      近くに永田干拓記念碑、というものがあるみたいだから、永田干拓だろうか?
      柳川干拓と呼ばれる場所もあるようだが…

      俺と彼女が行った干拓地は筑後川河口と矢部川河口のド真ん中にある。
      すぐ目の前に干拓地特有の干拓堤防があった。
      その先を見れば、

      出た…凄いわ…

      堤防を乗り越え、岩をつたい、干潟ギリギリまで行く。
      岩には牡蠣殻がついている。
      牡蠣殻に迂闊に触れると切れる。

      久しぶりに見たけど有明海の干潟は凄い。
      詳しいデータなんか知らないが、日本一だよ、これ。
      あまりにも広大な干潟が出現しており、沖合いのどこまでが干潟なのか、遠くて確認出来ない。

      地元で暮らす人達には馴染みの光景だろうが、俺は圧倒的な、この風景を見たかったし、彼女にも見せたかった。
      だから、わざわざ福岡市から車を走らせてきた。
      写真と実際見るのでは、そりゃ違う。
      久しぶりにホンモノの、とてつもない広大な干潟を直に見た。

      海の苔と書いて海苔だ。
      海苔に馴染みがある人は多いだろう。
      俺は海苔は好物だ。

      海苔の漁場が沖合いに見える。
      海苔網の支柱が沢山干潟に立っている。
      その海苔漁場のさらに沖合いまで、おそらく干潟だ。

      海苔といえば、もう亡くなってしまったがルー・リードがメタル・マシーン・ミュージックという作品を出した頃の取材にまつわる話がある。
      取材は、ぎこちなく終わったらしい。
      翌日、レコード会社のニンゲンから、取材をしたジャーナリストが海苔を貰った。
      ルー・リードは昨日の取材で上手く話せなかったと言っていた、と。
      ルー・リード曰く、このアルバムは日本の海苔のような…そんなものだから、昨日のジャーナリストに、この海苔を渡して欲しい、と言ったという。
      そんな話を思い出した。

      ルー・リードの真意は知らないし、推測するのも面倒だが、たわいもない話ながら、それ自体は面白い。

      少し話が横にそれたが、
      俺が、ここで言いたいのは、

      俺と彼女は、海苔漁場が広がる、とてつもなく広大な日本一の干潟を目の当たりにした、ということ。
      それが、どうした、と言われるならば、それまでの話だが、そういう奴には、縁が無いのだろう、と思っておけばいい。

      海苔養殖は干満の差を利用する。
      有明海の中でも筑後川や矢部川が流れ出る付近などの、いわゆる有明海奥部は、干満の差が最大6メートルにも達する。
      これは日本最大。
      つまり、俺と彼女が行った場所付近の話だ。

      うん、見たらわかるよ。
      こんなの、有明海以外で見たことがない。
      勿論、日本各地の干潟を全部見たわけじゃないが、あれを見りゃ、日本一と言われてもうなずける。
      大潮の最干潮時には沖合い5〜6kmまでが干潟になるという。

      近くに木の棒が落ちていた。
      泥の深さを知りたくて棒を干潟に突き刺したら、底が石ですぐに突き当たった。
      まあ、石を敷き詰めてあるだろうからな。
      場所を少し移動して刺せばズブズブッと。

      泥は適度にやわらかく、粘りがある。
      溶けたチョコレートみたいでもある。

      妙に絵を描きやすい。
      文字も書きやすい。
      彼女と棒で絵や文字を干潟に書いて遊んでた。
      俺がムツゴロウを描いたら全然似てなかった。
      話にならん。
      あ、そうだ…

      〇菌参上。
      干潟に書いた。
      上出来。
      やってることが、ヤンキーかよ、と自分で思った。

      干潟を後にする時に、彼女がどうしても寄りたい場所があるというので寄った。

      むつごろうランド。
      ここが、ある意味、凄かった。
      今から書く。

      上に書いた干潟のすぐそばに、その施設はある。
      名前は、上に書いたように、むつごろうランド。
      名前からして、中には、ムツゴロウがいるのかなあ、と思いながら、施設の駐車場に車を停めた。
      駐車場内には、他の車が7〜8台程度。
      見物客かな?

      入口らしきところに歩いていく。
      建物が近付くにつれ、閑散とした雰囲気が漂ってきたが、実際、中に入らないとわからない。

      彼女が入口であろう玄関のドアを開けようとするも、開かない。
      ガラス張りの透明のドアの向こう側に館内の誰かが来た。
      見たところ、おっちゃん。
      彼女は必死にドアを開けようとしている。

      ほぼ同時だった。

      俺『それ、押すんじゃね?』

      館内のおっちゃん:透明のドアの向こう側で、ひたすら、押せ、のジェスチャー(笑顔で)

      なんのことはない。
      彼女はずっとドアを引いていた。

      押した。
      開いた。
      簡単やね。

      館内のおっちゃんは、ドアが開いても、なぜか、まだ押せ、押せのジェスチャーを繰り返していた。
      笑顔で。

      彼女曰く、

      『いきなり向こう側に誰か来て踊りよるやん!と、思った』

      と。

      いや、ジェスチャーだってば。

      彼女が玄関先で聞いた。

      『ここはムツゴロウが見れるんですか?』

      館内のおっちゃんが言った。

      『ここは、なあんもないよ』

      は?

      いきなり先制パンチだ。
      俺は笑いそうになった。
      いや、多分笑っていた。

      じゃ、ここは何があるのだ?
      そういう疑問がわいた時に、おっちゃんが言った。

      『そこに少し写真がね…』

      え?通路やん。
      と、いうか…廊下?

      俺達は、上がってもいいんですか?と。

      館内のおっちゃんは、ああ、どうぞ、どうぞ、なあんもないよ。

      なんだかスゲエな…

      靴を脱ぎ、スリッパに履き替えた。
      スリッパには、むつごろうランドの文字。

      確かに写真はあった。
      ムツゴロウとかワラスボとかタイラギとかの写真と説明文。
      通路、というか廊下?に10枚ぐらい。

      ん…?
      これで終わり!?

      驚きながら通路を歩いていると、おっちゃんが、思い出したように、そそくさと、ある部屋を開けた。
      鍵がかかっていたから鍵を使って。

      俺は思った。
      もしかしたら今日、初めての見物人か?俺らは…
      いや…もしかしたら、この部屋を開けること自体、久しぶりじゃねえのか?
      いやいや…ここの施設に遊びに来る人自体が…
      と、思いながら部屋に入ると、ムツゴロウとは全く関係ない農耕機具が展示してあった。
      え?である。
      しかも、かなり古いものだ。
      しかし…ちょっと面白い。
      確かに干拓地、という意味で言えば、農業は関係がある。
      が、
      ここの施設の名称は、
      むつごろうランド、だろ?
      それが頭から離れないまま農耕機具のひとつひとつを見た。
      中には海に潜る時に必要なものも展示してあったが、ほぼ農耕機具。
      それら自体には興味を引かれたが…

      やっぱり、
      ここ、むつごろうランド…だろ?
      頭から離れない。

      農耕機具の部屋を出た。

      意味不明過ぎる。

      おっちゃん曰く、
      夏になれば、そこの干潟で、ムツゴロウ釣りのイベントや、この敷地内で色んなイベントがある、と。

      それを聞いて、俺達は、ムツゴロウ、そこの干潟に現れるんですか!と。

      おっちゃんは、あたたかい時なら日によるけれど、ウジャウジャいるよ、と。

      そうか、そうなのか…
      どおりで、さっき干潟を見た時にはムツゴロウを1匹も見なかったわけだ。
      今は冬だ。

      やっぱり、この施設、凄いわ。
      干潟が凄い、というのとは違う意味で。

      おっちゃん、
      有明海の干潟は自然界や。
      この施設自体と関係ないやん、と俺は思ったが、もはや、この施設、及び館内を管理する人達は違う次元に突入しているようだ。
      さびれている、と、いうレベルを超えて、何なんだろうか、あれは。
      新しい境地か?とすら思ったね。

      上に書いたように駐車場には7〜8台の車が停まっていたが、施設の人達のものだろう。
      見物人は俺達以外に誰もいなかったから。
      では、その施設の人達は何処にいたのだ?

      彼女曰く、会議室と書いてある部屋から賑やかな声が聞こえていた、と。
      おっちゃんは顔が赤かった。
      つまり、多分酒を飲んでいた。
      と、いうことは、会議室では新年会か?

      俺と彼女は唖然としながら、そして、笑いながら、施設を後にした。
      そりゃ、確かに、この施設には、なあんもないよ、というおっちゃんの言葉通りかもしれない。
      でもね、いいもん見せて(聞かせて)もらったよ。
      それに、なにより、目の前には物凄い干潟が現れる海がある。
      この感じ…
      一概に言えないことを承知で書くが、これこそ、ある意味、今、有明海の色んな場所での干拓地が孕む“一部”ではあろうが“本当”が、あらわれていた気がした。
      リアルだった。
      核心部分に少しだけ触れた気がした。

      『なあんもないよ』

      おっちゃんの、包み隠さない言葉が、力強く、俺の中で、繰り返し、響いていた。

      次は夏に彼女と行こう。
      ムツゴロウ釣るんだよ。
      なあんもないところで。

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